今回は京都大学の問題です。
今回もかなり面白い問題だと思うので期待してください。
使う知識は全てヒントで出そうと思うので、考え方さえ合えば答えを導けるはずです。
今回は証明問題ですが、例によって模範解答のような解説はしません。
模範解答というのはこれを書けば満点をもらえる解答ですが、ここは数学を楽しんでいただければ良いので堅苦しい証明の解答は書きません。
と、少し話が長くなりましたが今回の問題にいってみましょう!それでは
レッツゴー
問題
上図のように、
AB:素数
BC:素数
AC:整数
∠B=60°となっています。
ここで問題です
△ABCが正三角形であることを証明してください。
素数とは、その数と1以外で割り切れない数字のことです。
例えば、5は1と5以外で割ると余りが出てしまいます。
なので5は1と5以外で割り切れないので素数ということになります。
6は1と2と3と6で割り切れるのでこのような数字は素数ではありません。
また、1は素数ではありません。
なので、素数は2から始まります。
この素数というのが今回のキーワードです。
高校で習った三角関数の問題を覚えている方は解ける知識はほとんど揃っています。
この公式についてはヒントで出しておくので参考にしてください。
自力で考えたい人は、ここでいったん止めて考えてみてください。
ヒント1
b²=a²+c²-2accos60°
これを知らない人忘れている人には何のことか分からないと思いますが、こういう三角関数を使った公式があるんです。
三角関数とはサイン、コサイン、タンジェントのことです。
今回はこの公式から考えていくと解けるようになっています。
この公式は知らなくても大丈夫です。
ちなみにcos60°=1/2です。
なので、
b²=a²+c²-2ac×(1/2)
b²=a²+c²-ac
となります。
ヒント2
(A-B)²=A²-2AB+B²
A²-B²=(A+B)(A-B)
このように因数分解の公式を使うことで式を変形しましょう。
ヒント3
A²+B²=(A-B)²+2AB
(A-B)²=A²-2AB+B²
となるので、この式に+2ABをすると、-2AB+2AB=0になるのでA²+B²だけを残すことができます。
ラストヒント
素数同士の掛け算
素数同士の掛け算を考えてみます。
3×5=15の場合
15を作るためには、
3×5
5×3
1×15
15×1
しかありません。
このように、3×5とその逆と1×15とその逆しかありません。
これが3×4=12の場合を考えてみると、
3×4
4×3
1×12
12×1
2×6
6×2
このように、3×4とその逆と1×12とその逆以外にも答えが12になる計算があります。
これは素数同士とそうでない場合で常に同じ結果になります。
素数同士の場合はその数字同士と1×しかありません。
ヒントはここまでです。
ここから先に答えがあります。
答え&よく分かる解説
ヒントを使うと、
b²=a²+c²-ac
b²=(a-c)²+2ac-ac
b²=(a-c)²+ac
ac=b²-(a-c)²
ac={b+(a-c)}{b-(a-c)}
ac=(b+a-c)(b-a+c)
と式を変形できます。
ここで、aとcは素数なので、この掛け算は素数同士の掛け算になります。
よって、ac=(b+a-c)(b-a+c)の(b+a-c)(b-a+c)は、
a×c
c×a
1×ac
ac×1
しかありません。
これを全て計算して確かめていきます。
解説1
(b+a-c)(b-a+c)=a×cの場合
(b+a-c)=a・・・①
(b-a+c)=c・・・②
となります。
①を計算すると、
b-c=a-a
b-c=0
b=c
となります。
②を計算すると、
b-a=0
b=a
となります。
よって、a=b=cとなるので正三角形となります。
解説2
(b+a-c)(b-a+c)=c×aの場合
(b+a-c)=c・・・①
(b-a+c)=a・・・②
となります。
①を計算すると、
b+a=2c・・・③
となります。
②を計算すると、
b+c=2a
b=2a-c
となります。
これを③に代入します。
(2a-c)+a=2c
3a=3c
a=c
となり、これを③に代入すると、
b+c=2c
b=c
となります。
よって、a=b=cとなるので正三角形となります。
解説3
(b+a-c)(b-a+c)=1×acの場合
(b+a-c)=1・・・①
(b-a+c)=ac・・・②
となります。
①-②を計算すると、
2a-2c=1-ac
ac+2a-2c=1
(a-2)(c+2)+4=1
(a-2)(c+2)=-3
となります。
ここで素数は2からしか始まらないので、a-2は必ず0以上になり、c+2は必ず4以上になります。
なので、(a-2)(c+2)が-になることはありません。
よって、(b+a-c)(b-a+c)=1×acになることはないということになります。
解説4
(b+a-c)(b-a+c)=ac×1の場合
(b+a-c)=ac・・・①
(b-a+c)=1・・・②
となります。
①-②を計算すると、
2a-2c=ac-1
ac-2a+2c=1
(a+2)(c-2)+4=1
(a+2)(c-2)=-3
となります。
ここでも先ほどと同じように(a+2)(c-2)がーになることはありません。
よって、(b+a-c)(b-a+c)=ac×1になることはないということになります。
以上より問題の条件下では、必ず正三角形になるということが証明できます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
式変形は知らないとなかなか大変なので、難しかったかと思います。
解説の最後辺りは脳がじわ~となるような気持ちよさがあると思います。
僕は終盤、解きながらこの状態になってました。笑
解きごたえのある問題で面白かったです。
と、今回は以上になります。それでは
ザ・エンドってね
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