今回は、数学的帰納法のパラドックスについてです。
数学的帰納法を使うと、全人類がはげであるということが導けてしまいます。
なぜそんなことが起こってしまうのか、不思議じゃないですか?
今回はそんな話です。
この記事で数学的帰納法の基本的なことについて少し解説もしています。
なので、数学的帰納法が分からない方でも安心してください。
それでは数学の不思議な世界へ。
レッツゴー
数学的帰納法ってなに?
そんな長い名前のもの数学で聞いたことない!なんて人いないですか?
今回は数学的帰納法については簡単にしか触れませんので安心してください。
数学的帰納法を簡単に説明すると
- 1回目に成り立つことを確かめる
- 任意のKに対し、K回目に成り立つときに、K+1回目にも成り立つことを証明する
- これらを示したことで任意の自然数nでずっと成り立つことが証明できる
このようなものになります。
つまり、
1回目に成立したものが、2回目(1+1回目)も成立して、3回目(2+1回目)も成立してを繰り返していくと、ずっと成り立つんだって事ですね。
これの例を1つ考えてみましょう。
ドミノ倒しの例
分かりやすい例を挙げると、ドミノ倒しが有名です。
皆さん思い浮かべてみて下さい。
同じ幅のドミノが同じ幅で一直線にずっと並んでいます。
1枚目を倒すと考えましょう。
そして前のドミノが倒れたら、次のドミノも倒れるとします。
すると1枚目が倒れたあとは2枚目が、2枚目が倒れたら3枚目が倒れますよね?
それをずっと繰り返すと、何枚目のドミノでも1枚前のドミノが倒れたら倒れます。
つまりドミノは全て倒れるという結論になるわけです。
これが数学的帰納法の考え方です。
全人類はげ説
数学的帰納法を使って全人類がはげであることを証明していきましょう。
証明
毛がない人、つまりは毛が0本の人がいたとします。
この人ははげである。これは成り立ってますよね。
次に、この人の毛がK本の時もはげているとすると、K+1本目の時もはげていることになります。
よって「この人はどれだけ毛が生えていてもはげである」という結論が導かれます。
つまりこの世の人は全員はげである!
ということになってしまいます。
しかしどうでしょう。
実際そんなわけないですよね。
そう、これが数学的帰納法のパラドックスなのです。
ではここで導かれた結論が間違っていることになります。
ではどうすればこの結論を正しく導けるのでしょうか?
パラドックス回避
まずこの証明で何がダメだったのか。
それははげの人の毛が何本かというものを決めていないからなんです。
今回
はげの人は毛が1000以下である
と定義づけてやると、K=1000の時に、K+1が成り立たなくなります。
なので、この証明は間違いだと言えるんです。
ですが実際に何本以下の人がはげて見えるかは分かりません。
なのでこのように間違った結論が導かれてしまったのです。
このように定義があいまいなもので数学的帰納法を用いると、今回のようなパラドックスが起きてしまいます。
定義を決めてから数学的帰納法を使うことで、パラドックスは回避することができます。
まとめ
今回は数学的帰納法について簡単に解説し、それを使って「全人類ははげである」という証明をしました。
なぜこのような間違った結論が得られてしまったのか、理解できたでしょうか。
このような数学的帰納法のパラドックスはたくさんあるので、調べてみると面白いですよ。
今回は以上です。それでは
ザ・エンドってね
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