皆さん「3×3魔方陣」ってご存知でしょうか?
なんだかかっこいい響きのこれ、実は算数で出てくるものなんです。
算数といっても堅苦しいものではなく、3×3の9マスに1~9を入れて、縦、横、斜めの足した数字が同じになるものを「3×3魔方陣」といいます。
例えば下のようなものが「3×3魔方陣」です。
6 | 1 | 8 |
7 | 5 | 3 |
2 | 9 | 4 |
4×4の16マスの場合は4×4魔方陣となります。
今回は「3×3魔方陣」は1組しか存在しないことを証明していきます。
この記事を読む前に1度解いてみても面白いですよ。それでは
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目次
3×3魔方陣
まずは3×3魔方陣のもととなる9マスの正方形を書きます。
この9マスの中に1~9の数字を入れていきます。
入れる条件として縦、横、斜めに足したときの数が同じになるようにします。
また、以下の2つは回転させると同じ並びになるので、パターンとして1つと数えます。
1 | 2 | 3 |
4 | 5 | 6 |
7 | 8 | 9 |
⤵に90度回す
7 | 4 | 1 |
8 | 5 | 2 |
9 | 6 | 3 |
また、
1 | 2 | 3 |
4 | 5 | 6 |
7 | 8 | 9 |
これを裏返したもの
3 | 2 | 1 |
6 | 5 | 4 |
9 | 8 | 7 |
これも同じものと見なします。
さて、ここで問題です。
この3×3魔方陣が成り立つ時1~9の数字はどのようにマスに入るでしょう。
また、組み合わせは本当に1通りしかないのでしょうか?
これを考えていきます。
よく分かる解説
A | B | C |
D | E | F |
G | H | I |
この先便利なのでマスにアルファベットを割り振っておきます。
1列の合計を求める
まずは縦、横、斜めに足したものがどんな数になるのかの検討をつけましょう。
1~9を足すと
1+2+3+4+5+6+7+8+9=45
45÷3=15
なのでなんとなく15になりそうなイメージですね。
これを証明します。
上のマスで横の数を足し合わせた数は同じになるので
A+B+C=D+E+F=G+H+I
になります。
またA~Iまでは1~9の数字が入るので、
A+B+C+D+E+F+G+H+I=45
となります。
A+B+C=D+E+F=G+H+I
より
A+B+C=D+E+F
A+B+C=G+H+I
なので、
A+B+C+D+E+F+G+H+I=(A+B+C)+(A+B+C)+(A+B+C)=3×(A+B+C)=45
つまり
A+B+C=15
となります。
1列を足し合わせると15になることがこれで分かりました。
中央の数字を求める
A | B | C |
D | E | F |
G | H | I |
次に中央を含む縦、横、斜めを足し合わせてみます。
すると
縦
B+E+H=15
横
D+E+H=15
斜め
A+E+I=15
C+E+G=15
この4つを全て足し合わせると
B+E+H+D+E+H+A+E+I+C+E+G=60
これを並び替えると
(A+B+C+D+E+F+G+H+I)+3E=60
45+3E=60
3E=15
E=5
よって中央の数字は5になることが分かりました。
1は角には入らない
A | B | C |
D | 5 | F |
G | H | I |
次は角のA、C、G、Iのいずれにも1が入らないことを証明します。
証明方法として今回は背理法というものを使います。
背理法のやり方は、一旦角に1が入ると仮定して計算してみます。
そうすると角が1では計算が合わない部分が出てきます。
なので最初の仮定、角に1が入るというのが間違っていたということになります。
そこから角に1は入らないということがいえるという証明方法です。
また、今回は魔方陣を回転させたものを同じに見なしますので、角ならどこに1を入れて計算しても大丈夫です。
角に1が入らないことの証明
Aに1が入ると仮定します。
すると、斜めに足し合わせたものは15になるので、Iには9が入ることになります。
1 | B | C |
D | 5 | F |
G | H | 9 |
1行目を計算すると
1+B+C=15
また、3列目を計算すると
C+F+9=15
ここで、9マスに入れる数字のうち1と9は既に入っています。
なのでBに入る数字はどれだけ大きくても(最大で)8になります。
同じように、Fに入る数字はどれだけ小さくても(最小で)2になります。
なので、
15=1+B+C≦1+8+C
また、
15=C+F+9≧1+2+C
となります。
これを計算すると
C≧6
C≦4
となります。
しかし4以下で6以上なんて数字はありません。
よって角に1がくるという仮定がそもそも間違っていたことになります。
これで角に1が入らないことを証明できました。
あとは数字を埋めるだけ
ここまでで数字は三つ埋まりました。
あとはこれをもとに数字を埋めていきましょう。
A | 1 | C |
D | 5 | F |
G | 9 | I |
まずはAとCについて。
AとCには(6、8)または(8、6)のどちらかが入ります。
ここで思い出してほしいのが、マスを裏返したものは同じに見なせるということです。
つまり
8 | 1 | 6 |
D | 5 | F |
G | 9 | I |
と
6 | 1 | 8 |
D | 5 | F |
G | 9 | I |
は同じものとして見なせます。
なのでどちらに6を入れても良いということです。
今回はAに6を、Cに8を入れて考えてみます。
6 | 1 | 8 |
D | 5 | F |
G | 9 | I |
次にGは斜めに足し合わせたものが15になるので
8+5+G=15
よりG=2
同じように
I=4
6 | 1 | 8 |
D | 5 | F |
2 | 9 | 4 |
次に縦に足したものも同じく15になるので
6+D+2=15
より
D=7
同じように
F=3
6 | 1 | 8 |
7 | 5 | 3 |
2 | 9 | 4 |
とすべての数字が求まりました。
以上から3×3魔方陣はこの1種類に定まります。
お疲れさまでした。
まとめ
どうでしたか、ちょっと大変ですが分かると楽しい問題だと思います。
こんな問題ばっかならもっと数学が楽しくなるのに。
分かりにくい点などありましたら質問どんどん送ってください。
今回は以上です。それでは
ザ・エンドってね
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