※今回の問題はお笑い芸人「すゑひろがりず」さんのネタを元にしています。
漫才のネタバレがありますので気をつけてください。
おすすめはすゑひろがりずさんのネタで一通り笑った後にここに戻ってきていただくことです。
このネタめちゃめちゃ面白いですよ。
ここから本編でございます。
今回は少し趣向を変えまして、ある芸人さんからの出題です。
その芸人さんとは、2019年に狂言漫才で注目を浴びた「すゑひろがりず」さんです。
この方たちの漫才、コントが面白いのはもちろんなのですが、漫才の中で数学の問題が出されているんです。
僕がすゑひろがりさんで特に笑ったボケとツッコミなんですが、この問題「鬼むずし!」なんです!笑
この問題がまず解けるのかどうか、そして解けるのなら答えはどうなるのかが気になったので実際に解いてみました。
まずは珍妙な問題文からいってみましょう!それでは
レッツゴー
YouTubeでも動画を投稿していますので是非ご覧ください!
目次
問題
たかし殿は1つ5両の甘栗を3つ買いに40両を握りしめ、寅の刻半に時速8里の早馬で屋敷を出申した。
2尺5寸の間隔で灯篭が置かれし丸池の周りを右回りに17本目の灯篭に動く点乙が参りし時、忘れ物を届けに翁が時速22里で追いかけ申した。
たかしと翁が出合いし灯篭を点卍といたしたとき、
卍と乙の距離、ならびにこの丸池の面積を求めよ。
ただし、円周率の概念はまだ発見されていないものといたす。
どうですかこれ?
単位などは後で調べるとして、この問題は解けるんでしょうか?
とくにこの1文、
ただし、円周率の概念はまだ発見されていないものといたす。
池の面積が無理なのは確定しています。笑
今回は円周率を奇跡的に発見した場合に解けるのかも検証しました。
単位変換だけはないとややこしいので単位の変換はしておきます。
- 1両:約10万円
- 寅の刻:3時~5時
- 1里:約4㎞
- 2尺5寸:95㎝
ここから先に答えがあります。
答え
乙と卍の距離:8.55m
池の面積:194m²より大きい
よく分かる解説
まずは現代の単位にして読みやすくしましょう。
また、使わない情報は消しておきます。
たかし君は時速32㎞の早馬で屋敷を出ました。
95㎝の間隔で灯篭が置かれている丸池の周りを右回りに17本目の灯篭に動く点乙(たかし君)が来た時、忘れ物を届けに翁が時速88㎞で追いかけました。
たかし君と翁が出合った灯篭を点卍としたとき、
卍と乙の距離、またこの丸池の面積を求めよ。
ただし、円周率の概念はまだ発見されていないものとする。
今回の問題に時刻やお金に関することは全く触れられません。
そこもまた面白いんですが。笑
問題分も見やすくなったところで、解いていきましょう。
また、動く点乙はたかし君だとして考えます。
解説1
解説1-1
城から17本目の灯篭までの距離
この卍と乙の距離に関しては池のような円形でなくても良いので直線で考えます。
灯篭の間隔は95㎝なので、城から17本目の灯篭までは、
95×17=1615㎝=16.15m
となります。
今回求めたいのは?mです。
解説1-2
翁とたかし君が出会うまでの時間
翁とたかし君が出会うまでの時間をx時間とします。
翁とたかし君が出会う場所から城までの距離は、翁で考えると、
88x
であり、たかし君で考えると、
32x+0.01615
となります。
この距離が等しいので、
88x=32x+0.01615
x=(0.01615/56)時間
となり、翁とたかし君が出会うまでの時間が求まります。
解説1-3
たかし君と翁が出会った灯篭
翁とたかし君が出会うのは城から、
88×(0.01615/56)=(1.4212/56)㎞ (約25m)
より、1.4212/56㎞=1421.2/56m離れた場所になります。
これは何本目の灯篭でしょうか?
それは、(1421.2/56)mを0.95mで割ってあげれば答えが出せます。
1421.2÷56÷0.95=26.714…
より、だいたい26本目だということが分かります。
四捨五入しても良いですが、どちらかが少し休憩したことにしましょう。
あと始めの設定の速さより速いというのが僕はあまり好きではないので。
ともあれ、点卍は26本目の灯篭の位置ということになります。
では、点卍までの距離を正確に求めましょう。
0.95×26=24.7m
これが点卍の距離です。
つまり、卍から乙までの距離は、
24.7-16.15=8.55
より、8.55mが答えになります。
解説2
池の面積
円周率のが概念を奇跡的に発見したとして話を進めます。
そうでもしないとさすがに無理です。笑
円周率を3.14まで求められたことにします。
あと池は完全な円であると仮定します。
まずは状況から整理しましょう。
解説2-1
店は池の左側
たかし君は甘栗を買うという目的があって池の周りを回っています。
つまり池の周りに甘栗を売っている店があることが予想できます。
また、たかし君がよほどの間抜け、または用事がない限りはできるだけ近い道で行くはず。
つまり、池を上から見た時に半分より左側にあると予想が立ちます。
右側にあった場合、左回りの方が店に早く着いてしまうからです。
解説2-2
翁が追いついた
問題では翁とたかし君が出会ったとありますが、これは追いついたと解釈します。
そうでないと問1ですら解けないので。
翁がたかし君に追いついたということは、たかし君はまだ店で甘栗を買えていません。
このことから、26本目の灯篭は店よりも前にあるということです。
そうでないと追いついたことにならないからです。
ここで、
池の円周の半分≧店までの距離≧26本目の灯篭までの距離
が成り立ちます。
また城から26本目の灯篭までの距離は、
26×0.95=24.7m
なので、
池の円周の半分≧24.7m
となり、池の半径をrmとすると、
2×3.14×r÷2=3.14×r≧24.7
r≧24.7/3.14 (約7.9m)
となって、この池の半径は少なくとも(24.7/3.14)mはあることが分かりました。
よって面積は、
(24.7/3.14)²×3.14=194.296…≒194
より、194m²より大きいであることが求められました。
この情報だけではここまでが限界です。
お疲れ様でした。
まとめ
これは鬼むずしでした。
すゑひろがりずさん激難問題ありがとうございました!
かなり手ごたえもあり、解説2なんかは論理的思考が必要になるような問題でした。
めちゃめちゃ面白かったです。
普通の問題解くよりもかなりの体力を使いました。笑
疲れたので今回はここまで!それでは
ザ・エンドってね
追加考察
この記事をツイッターでつぶやいたところ、たくさんの方々にいいねとRTをしていただきました。
本当にありがとうございました!かなり励みになりました。
と、それもありがたいのですがある方から、
「開店時間を考慮すると池の面積はどうなるんでしょう?」
といった旨のご意見がありました。
やはりツイッターはするべきですね。
素晴らしい意見に出会いましたよ。
僕は計算して満足していたのでこの意見が無ければこの追加考察はなかったと思います。
というわけで開店時間を考慮するとどうなるのかを考えていきたいと思います。
問題文
たかし君は時速32㎞の早馬で屋敷を出ました。
95㎝の間隔で灯篭が置かれている丸池の周りを右回りに17本目の灯篭(点乙)にたかし君が来た時、忘れ物を届けに翁が時速88㎞で追いかけました。
たかし君と翁が出合った灯篭を点卍としたとき、
卍と乙の距離、またこの丸池の面積を求めよ。
ただし、円周率の概念はまだ発見されていないものとする。
追加考察
開店時間を設定する
そして今回大事になってくるのが元の問題文にあった寅の刻半に屋敷を出たという一文です。
寅の刻は3時~5時なので、寅の刻半は4時ですね。
ここで、開店時間を10時に設定すると、たかしくんは6時間走ることになります。
たかしくんの体力は無尽蔵なので6時間くらいは走りっぱなしでも問題ありません。
時速32㎞で6時間走るとその距離は、
32×6=192(㎞)
となり、今回は池の円周の半分がこの値より大きくなるように考えていきます。
池の半径をr㎞とすると、
2×3.14×r÷2≧192
r≧192/3.14 (約61㎞)
となり、池の半径は少なくとも(192/3.14)㎞はあることが分かりました。
よって、池の面積は、
(192/3.14)²×3.14=11740.127…≒11740
より、11740㎢以上であることが求められました。
いやでかすぎ!
ちなみに琵琶湖の面積が670.4㎢です。
琵琶湖17個がすっぽり入っちゃうよ!
本当に終わり
追加の考察きっかけをいただきましたことを感謝します。
とても面白かったです!
またご意見ありましたら追加考察していきたいと思います。
それでは!
関連記事
【面白い数学の問題】くじの順番で確率は変わる?実際どうなのか確かめてみよう【くじ引きの公平性】
【面白い数学の問題】なぜ1+1=2の証明が難しい?解説してみた
【面白い数学の問題】東大入試の有名問題「円周率が3.05より大きいことの証明」はどうやるの?【π>3.05】
コメント
コントを見たあと、このサイトを拝見させて頂きました。
その際ふと疑問に思ったのですが、動く点乙=たかし君 である場合、たかし君と翁が出会った点を卍とすると、たかし君(点乙)と翁は点卍に居ることになるため、点乙と点卍の距離は0になるのではないでしょうか?