今回は、東大入試の有名問題からの出題です。
この問題は当時、ゆとり教育で円周率は3になるということからも有名になりました。
この問題の印象はどうだったでしょうか?
「東大が出す問題なんだから難しくて自分には解けないんだろうな…」
そんなこと思いませんでしたか?
しかし、これはやり方さえわかってしまえば意外と簡単なんです。
どれくらいのレベルかというと、ほとんど中学生で習ったことで解けてしまう。
やり方によっては中学生の内容で全てが解ける。そんな問題なんです。
さっそく問題にいってみましょう!
意気込まずに気楽に見ていってください!それでは
レッツゴー
YouTubeでも動画を投稿していますので是非ご覧ください!
目次
問題
円周率が3.05より大きいことを証明してください。
今回は解答は証明なので解説からいきたいと思います。
少しだけヒントを出しますと、この問題は正八角形が重要なカギを握っています。
ここから先に解説があります。
よく分かる解説
準備
まずは道筋を考える
まずはどうすれば解けるのかという道筋を考えます。
これは超大事です。
手を動かす前にどうやって証明していくかの道筋を考えましょう。
まず円周率と出てきているので、円は使います。
次に、円の円周を考えます。これは
円周=直径(今回は半径1の円を考えていきます)×円周率(次からはπで表記)
で求まります。
これは公式なので覚えている前提です。
受験生なら覚えているとは思います。
今回は半径が1の円を考えているので、円周は2πとなります。
では、この円の中に正八角形を描いてみましょう。
円に接する正八角形の描き方
描く手順
- 正方形を書く(緑)
- その正方形に接する円を書く(赤)
- 正方形の対角線(頂点同士を結んだ線)を書く(黒)
- 正方形の辺の中心から中心へ線を引く(黒)
- 3と4の線で円と接している所を結んでいく(青)
この図を見ていただくと分かるように、正八角形(青)が円(赤)に収まっています。
つまり、赤の長さより、青の長さのほうが短いということになります。
これを式にすると以下のようになります。
赤の長さ(2π)>青の長さ
ここまでで準備は完了です。
証明開始
さて、証明の道筋は立てました。
ここから式を立てていきます。
赤の長さは2πです。
ここからは青の長さを式にしていきます。
正八角形には同じ三角形が八つあります。
その三角形の辺の長さと角度は、
図のようになります。
1㎝は赤の円の半径なので1㎝です。
また、45°になっているのは円の中心部分は360°なので、それを8等分して、
360÷8=45
45°になっています。
この三角形を一つ取り出してみます。
正八角形の周りの長さ(元の図の青の長さ)を求めるには、?を求めて8倍すればよいことが分かります。
ここで?を求めるために三角形で、余弦定理を使うと、
?2=12+12-2×1×1×cos45°=2+2(√1/2)=2-√2
? =√(2-√2)
となります。ここで、
赤の長さ>青の長さ
より、
2π>8×?=8√(2-√2)
π >4√(2-√2)
π2>16(2-√2)>16√(2-1.415)=9.36
※2-1.414>2-1.415
となりました。ここで、
3.052=9.3025
なので、
9.3025<9.36<16(2-√2)<π²
3.05²<π²
が示せました。
また、円周率πは正(+)なので不等号の向きもそのままで
3.05<π
が示せて、証明完了です。
簡単におさらい
- 円を描く
- その中に正八角形を描く
- 正八角形の一辺の長さを計算して8倍する
- 円周との大小比較から3.05²<π²を示す
ぜひ一度自分の手で解いてみましょう。
解けたときの達成感、とても気持ちいいですよ。
おまけ【3より大きいは超簡単】
円周率が3より大きいのは簡単に求められる話をおまけにしておきます。
今までのを見て、ピンときた人はいますか?
円周率が3.05証より大きいことの証明には正八角形を使いましたが、
3より大きいのを証明するためには正六角形を使います。
これも図に描いてみると、
この様な図になります。
正六角形の場合三角形が6つなので中心は360÷6=60で60°、そして2つの辺は1で同じなので、
正三角形であることが分かります。
よって正六角形の場合、青の長さは、
1×6=6
6㎝になって、
6<2π
から、
3<π
と簡単に証明できます。
追加解説(YouTubeの視聴者様からの解説)
ここからは視聴者様からの解説があまりに感動したのでその解説を載せておきます。
まずはこのような図形を考えます。
上図は、
半径17㎝の円に、1辺が12㎝の正方形を描いた図です。
すると、半径は17㎝なので、正方形の上と右にある三角形の辺が、12㎝と5㎝になります。
この三角形は直角三角形なので、三平方の定理から、
12²+5²=169
√169=13
より、赤線の長さは13㎝2つ分で26㎝になります。
そして、この正方形の対角線の長さは12√2であり、
12√2≒16.97<17(円の半径)
なので、対角線の長さの方が円の半径よりも短いです。
つまり、この正方形は円の外に飛び出すことなく内側に収まっていることになります。
よって、赤線の長さは青線の弧の長さよりも短いということになります。
その長さの大小関係を比べると、
(34/4)π>26
π>(4/34)×26≒3.0588>3.05
となるので、π>3.05が証明できます。
これなら三平方の定理さえ理解できていればこの問題が解けます。
この考えは個人的にかなり好きなので、追加の解説として紹介しました。
これからもいい解説があれば紹介していこうと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の問題は、高校1年生で習う事しか使ってません。
しかも、高校1年生の内容は、余弦定理だけです。
つまり、この問題はほとんど中学生で習う内容でできてしまうんです。
さらに、この問題は余弦定理を使わない方法でもできるので、それを使えば、中学生でも解けてしまうような問題なんです。
それも要望があればいつかやってみようかな。
面白いと思える問題をどんどん見つけて数学って楽しいんだ、と思って頂けるようにこれからも面白そうな問題があったら取り上げていこうと思います。
今回は以上になります。。それでは
ザ・エンドってね
関連記事
なぜ1+1=2の証明が難しい?解説してみた【面白い数学の問題】
【難問】京都大学の有名問題「tan1°は有理数か?」はどうやって解く?【面白い数学の問題】
コメント