今回はかなりシンプルで難しい問題を紹介します。
解説の内容も難しいかもしれませんが、面白い知識が満載なので頑張ってついてきてください!
では、今回の問題も楽しんでいってくださいね!
それでは早速今回の問題にいってみましょう!
レッツゴー!
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問題
図のような3辺が全て整数の直角三角形があります。
ここで問題です。
この三角形の面積が6の倍数になることを証明してください。
情報が少ないですね。
これだけの情報でどう考えていけばいいのか。
今回はヒントありなので参考に解いてみてください!
自力で考えたい人は、ここでいったん止めて考えてみてください。
ヒント1
面積が6の倍数→a×bが12の倍数
直角三角形→a²+b²=c²
図の三角形の1辺をそれぞれa、b、cとすると三角形の面積は、
1/2×a×b=6の倍数
となるので、
a×b=12の倍数
となります。
また、直角三角形なので三平方の定理より、
a²+b²=c²
となります。
今回はこれ以上情報は増えません。
ヒント2
a×bが12の倍数→a×bは3の倍数かつ4の倍数
a×bが12の倍数になるためには、a×bが3の倍数、かつ、4の倍数であれば良いです。
ヒント3
a×bが3の倍数→aかbのどちらかは3の倍数
a×bが4の倍数→aかbのどちらかは4の倍数 or aとbが共に2の倍数
a×bが3の倍数かつ4の倍数であることからaとbがどんな数になる必要があるかを調べていきます。
a×bが3の倍数なら、3は素数なのでaかbのどちらかが3の倍数になる必要があり、
a×bが4の倍数なら、4は1×4、2×2と2通りあるのでaかbのどちらかは4の倍数か、aとbの両方が2の倍数になれば良いです。
ヒント4
aかbのどちらかは3の倍数→どちらも3の倍数ではないと仮定して矛盾を導く(背理法)
どちらかは3の倍数とくればこの方法が思いつく方も多いと思います。
今回は背理法を使うと解けます。
この時に使う考え方が面白いので頑張って思いついて!
ヒント5
modは便利
今回はmod君に頑張ってもらうことになります。
modとは余りを考える計算です。
例えば4÷3=1余り1の場合、
4≡1(mod3)
と書き余りを表します。
また、4²である16を3で割った余りを考える時に4を3で割った余りの1を2乗したもので考えることができます。
4≡1(mod3)
4²≡1²=1(mod3)
5≡2(mod3)
5²≡2²=4≡1(mod3)
のように考えることができます。
また、5+5=10を3で割った時の余りを考える時は、
10≡1(mod3)
5+5≡2+2=4≡1(mod3)
のように余りを足して考えることもできます。
これを使いこなせば証明できるはず!
さあ頑張りましょう!
ラストヒント
aかbのどちらかは4の倍数 or aとb共にの倍数→mod8を考える
ここでがmod8を使うと便利です。
こうすることで面白いことが起きます。
なぜなのかは使って考えてみてください!
ここから先に答えがあります。
解説
解説1
問題から分かるたった2つの情報
まず、説明のために直角三角形の1辺をそれぞれa、b、cとしておきます。
するとこの三角形の面積は、
1/2×a×b
となります。これが6の倍数になるのでa×bは12の倍数になります。
a×b=12の倍数
また今回考えている三角形は直角三角形なので三平方の定理が使えます。
a²+b²=c²
この2つが現在分かっていることであり、これ以上何かわかることはもうありません。
この2つが今回この問題を解く上で必要な情報です。
ではここからはこの2つを使って考えていきます。
解説2
a×b=12の倍数→a×bが3の倍数かつ4の倍数
a×bが12の倍数になるためには、a×bが3の倍数かつ4の倍数になれば良いです。
これを1つ1つ証明していけばOKです。
ではまずa×bが3の倍数の場合を考えてみましょう。
解説3
a×bが3の倍数→aとbのどちらかは3の倍数
3は素数なので1×3となることが最低条件です。
つまり、aかbのどちらかが3の倍数であればOKです。
ここで、aとbがどちらも3の倍数では無いと仮定して矛盾を導く背理法を使って考えていきます。
ここで、3の倍数以外の数を3で割った余りを考えてみます。
1≡1(mod3)
2≡2(mod3)
3≡0(mod3)
4≡1(mod3)
5≡2(mod3)
6≡0(mod3)
7≡1(mod3)
と続いていきます。
また、これらの数を2乗した時の余りを考えると、
1≡1(mod3) 1²≡1(mod3)
2≡2(mod3) 2²≡1(mod3)
3≡0(mod3) 0²≡0(mod3)
4≡1(mod3) 1²≡1(mod3)
5≡2(mod3) 2²≡1(mod3)
6≡0(mod3) 0²≡0(mod3)
7≡1(mod3) 1²≡1(mod3)
と、110110と続くことになります。
つまり、3の倍数以外の整数の2乗を3で割ると必ず余りは1になるということです。
これが面白い!
そしてこれを使うと、今aとbは3の倍数では無いと仮定しているので、
a²+b²≡1+1=2(mod3)
となります。
ここで、c²を3で割った余りは0か1なので2になることはありません。
ここで矛盾が生じます。
よって、仮定が間違っていることになるのでaとbが共に3の倍数では無いことが分かります。
以上よりaかbのどちらかは3の倍数であることが証明できます。
解説4
a×bが4の倍数→aとbのどちらかは4の倍数 or aとbが共に2の倍数
4は1×4か2×2となることが最低条件です。
つまり、aかbのどちらかが4の倍数またはどちらも2の倍数であればOKです。
ここでは、mod8を使って考えていきます。
ではmod8を考えてみましょう。
1≡1(mod8) 1²≡1(mod8)
2≡2(mod8) 2²≡4(mod8)
3≡3(mod8) 3²≡1(mod8)
4≡4(mod8) 4²≡0(mod8)
5≡5(mod8) 5²≡1(mod8)
6≡6(mod8) 6²≡4(mod8)
7≡7(mod8) 7²≡1(mod8)
8≡0(mod8) 0²≡0(mod8)
ここで、余りについての共通点を考えると以下のようになります。
奇数 : 余り1
2×奇数 : 余り4
4の倍数 : 余り0
ここで、aとbが共に4の倍数では無いと仮定すると8で割った時の余りは、1+1=2、1+4=5、4+4=8≡0のどれかになります。
この時、c²を8で割った時の余りは0か1か4なので2か5になることはありません。
よって、4+4=8≡0(mod8)以外ではaとbが共に4の倍数では無いのでどちらかは4の倍数になります。
また、4+4=8≡0の場合を考えるみましょう。
8で割って4余るのは2×奇数の場合であり4+4=8≡0の場合はどちらもこれに当てはまります。
つまりこの場合、(2×奇数)×(2×奇数)となるのでこちらも4の倍数になってくれます。
以上より、a×bは4の倍数であることが証明できます。
よって、a×bは3の倍数かつ4の倍数となることが証明できたのでa×bは12の倍数になります。
つまり、1/2×a×bが6の倍数になるので3辺が全て整数の直角三角形の面積は6の倍数になることが証明できます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
かなり面白い知識が満載で楽しめたと思います!
余りって不思議で便利で面白いですね。
この記事を読んでくださった方なら余りの魅力に引き込まれたはず!
そう願っています。
と、今回は以上になります。
それでは
ザ・エンドってね
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